借地権とは、借地契約内容に基づき、土地の上下にわたって独占的に使用することができる権利です。したがって、土地の上下の一部しか占有できない区分地上権の場合、その更地に対する割合(ここでは、「区分地上権割合」とします。)は借地権割合を超えることはないとの説明がなされることがありますが、本当にそうでしょうか?

ここで言う区分地上権割合は、区分地上権設定に伴い当該土地の利用が妨げられる程度に応じて判定された、土地の正常な取引価額(更地価額)に対する割合を言います。これに対し、借地権割合とは借地権価格の更地価格に対する割合を言います。前者が土地の最有効使用に基づく用益の妨げられる割合を意味しているのに対し、後者は更地価額のうち、借地権者に帰属する部分の経済価値ないし市場価値の割合を意味しているという違いがあります。

例えば、戸建住宅地域内の借地権でほぼ最有効使用が実現する場合(契約減価がない場合)には、用益という観点からは借地権はほぼ100%所有権の用益を妨げている(あるいは所有権に留保された用益はほぼ0%と言える)かも知れませんが、国税庁の相続税路線価※を見ても分かるとおり、実際の借地権割合は、どんなに高い商業地であっても新潟市中心部の70%が上限で、住宅地にあっては通常50%程度です。なぜ借地権は、用益に関してはほぼ100%獲得しているのに、借地権割合は50%程度なのでしょうか? これは、借地権には地代支払い義務があるからです。例えば、更地の経済価値100%に対し、借地権者は50%の価値しか保有しておらず、残りの所有権者(底地)に留保されている50%については、その利用の対価として地代を支払わなければない関係にあると擬制することができます。したがって、地代の大小が底地価格の大小に影響し、ひいてはそれが借地権価格の大小に影響しているわけです。実際に更地価格の経済的な価値に見合った地代(経済地代、税法でいう相当地代)の授受がある場合には、借地権価格(割合)は限りなく0に近くなり、逆に地代が低い場合には借地権価格(割合)は高くなっていきます。

※ちなみに相続税路線価の借地権割合は、地域の標準的な地代を想定し、それを前提としています。

このように、借地権割合は用益の利用率(阻害率)を表すのではなく、地代水準等に応じた経済的価値の割合を示すものであるので、必ずしも区分地上権割合が借地権割合を上限とするとは限りません。